練習テープ

今日は、実家に戻って自分の部屋の片付けをした。小さいころに使っていた学習机の中や押入れに入ってた大学時代の教科書など、とにかく捨てるものを、とっておくものにわけ、整理をした。一日がかり。その中で、高校生時代、自分がピアノを練習していたところを録音したテープが見つかった。卒業試験に備えての練習だ。

自分で選んで音楽高校に入学したものの、その思い描いていたイメージとのギャップに、かなり早い段階から苦しんで、一時は、退学する直前までいっていた。それでも、自分で選んだんだからと高校生の間は音楽をがんばろうと決めて、その卒業試験が最後の演奏になるつもりだった。テープを聴いてみると、あー、今と比べてあのころはこんなに弾けたんだなあ、としみじみと思った。でも、そのテープから流れる音楽には、なんの気持ちも感じ取ることができなかった。「こなしている」そんな感じ。当時のころの自分の気持ちを考えると、とにかく、これさえがんばれば、もう、練習しなくていい、自分の音楽生活が終わるんだ、そんな風に考えていた気がする。そのテープからの音をずっと聞いているのはとても苦しい。

卒業試験の後、自分の中で音楽もピアノも見たくない、聞きたくない、といった拒否反応に変わってしまった。そのことがすごく悲しいと思ったけど、自分の気持ちはコントロールできなかった。

それから長い年月を経て、今は趣味でピアノを続けている。今は、ピアノも音楽も好き。楽しい。当然練習量も違うし前のようには弾けない。だけど、その楽しむ気持ちを大切にしたいと思っている。