問題児

アメリカの授業では、グループワークというのをよく行う。先生にグループを決められる場合もあるし、自分たちで勝手に決める場合もある。今回のスピーチのクラスの場合、なんとなくクラスの中で決めたグループなのだが、その中で、どうしても馬の会わないクラスメート役者くんがいる。彼は、外見はかっこいい。そして、自分がかっこいいことをよく知っている。だが、とにかく私と対立することが多い。
問題その1:とにかく自己中心的だ。グループで行うスピーチのトピックは当然みんなでアイデアを出して決めるのだが、自分の考えが正しく、かっこいい、と信じている。その後のメールのやり取りと見ていても、クラスで話し合ったことなんかまったく無視である。
問題その2:これも自己中心的というもののひとつだが、スピーチのトピックは自分たちが話しやすい話題を選ぶことが鉄則とされている。日本からの留学生がいる私のことはまったく無視して、スピーチのトピックを「アメリカ軍隊の女性の立場」だの、「イラク戦争フセインを失脚させたのは正しかった」だの、やたら、政治だの軍隊だのといった難しいトピックを提案してくる。私は、アメリカ軍隊の話なんで知るか!と突っぱねる。他のグループは、エクササイズはするべきか、とか、そういったかなりやわらかめでわかりやすいトピックを提案しているのに、政治や経済みたいに、何か他の人が知らない難しいことを自分は語れるんだということをとにかくアピールしたいらしい。
問題その3:簡単なことをこねくりまわして難しい言葉を使っていうのがかっこいいと思っている。例えば、「バランスよく栄養を取ることは大切だ。」みたいな文章も、彼に言わせると「成人に適量とされる栄養を過不足なく摂取することは非常に重要である。」みたいな文章になる。うまくニュアンスが伝わるかどうかわからないが、こんな調子で政治の話をされたんでは、何言ってるんだかちんぷんかんぷんである。そして、そんな話の仕方ができる自分をかっこいいと思っているところがまたさらに頭にくる。
こんな調子で、彼が提案してくるスピーチのトピックをことごとく反対し、やや険悪なムードが漂うわがグループ。この先どうなるかはかなり怪しい。