ゴスペルデビュー

ハーレムの中にある教会へ、ゴスペルデビュー。教会へは普通おしゃれをしていくものだが、その一つに「帽子」がある。もちろん、教会の中で帽子をかぶっていられるのは女性に限られるのだが、その「帽子」が本当におしゃれでユニークなのだ。羽のついているもの、スパンコール、ビーズ、レース、本当にいろいろある。あれって毎週違うのを選ぶのかな?
会場内に入ると、ミサの開始まで20分近くあるというのに、音楽があふれてくる。歌声だけでなく、オルガン、タンバリン、マラカス。歌が終わると、誰かが次の曲のメロディーを歌いだし、それが大合唱になる。
そして、ミサが始まった。メインは男性主体のコーラス。神への祈り、感謝など、歌で表現する。そのエネルギーがものすごい。会場からもその歌声に同調した相槌のような、雄たけびのようなものがひっきりなしに飛んでくる。興奮すると、舞台や通路で踊りだす。私が小さいころに通っていた荘厳なミサとは180度違う。面白いことに、多くの人が「マイタンバリン」を持参している。コーラスと一緒にずーっと手拍子をしていることを考えると、「マイタンバリン」はそのエネルギーを大きな音に変えることができるので利にかなっている。しかし、2時間半以上の長いミサだった。毎週こんなエネルギーでミサをしていると、終わったころにはみんなくたくたなのではないかと思った。
海外に出ると、宗教の偉大さを実感させられる。神の存在を信じることができるといいなあ、と思うことはよくある。私には、この年になるまでそういった感覚が生まれなかったので、もう無理かなあとは思うけど。宗教を持つということは、うれしいことがあったときだけでなく、迷ったり、悲しいことがあったりしたときも、教えを請う原点があるということだ。世界中には、いろんな宗教がある。それぞれに信じるものや教えは違うけど、そこに思いを寄せる原点は同じように思える。他の宗教を信じるものをけなしたり否定したりするのではなく、共存できることはできないか、と考える。